蝶と蛾
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イリアン・ジャヤからのCallictita属(シジミチョウ科)の1新種の記載
Michael PARSONS広渡 俊哉
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1988 年 39 巻 4 号 p. 259-262

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抄録

Gallictita属はすべての種がニューギニアに分布し,8種が含まれる(PARSONS,1986).筆者らは大英博物館(BMNH)に所蔵されている標本の中からイリアン・ジャヤ(Weyland Mts.)産の1新種C.upolaを見い出したので記載した.本種は雄交尾器の形態などから,同じくイリアン・ジャヤ(Wandammen Mts.)に分布するC.albiplagaに最も近縁であると思われる.本属では後翅裏面の褐邑条線のうち中斑が第3室〜第4室で分断,あるいは消失するが,本種ではこれがほぼ連続しており,本属の祖先的な斑紋パターンを維持しているものと考えられる.この斑紋パターンは一見すると,Upolampes属のものとよく似ている.また,本属では雄の前翅表面中室付近に楕円状の広い性斑が現れるが,C.albiplagaでは不明瞭となり,本種ではこれを完全に欠く.Eliot(1973)は同様の性斑を有するアフリカのUranothauma属と本属との近縁性を示唆したが,両属の雄交尾器の形態は顕著に異なっており,今回記載したC.upolaのように性斑を欠くものが存在することから,この性班は同属で独立に生じたものと考えられる.

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© 1988 日本鱗翅学会
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