抄録
チベット・ラサ市内に街路樹として植栽されているウラジロバコヤナギ(Populus alba)から羽化したスカシバガの一種Sesia tibetensisを新種として記載した.この新種は中国青海省西寧から記載されたSesia siningensis (Hsu, 1981)に非常によくにているが,本新種のほうが小型で, Table 1にあるようにlabial palpusの第一節,前翅前縁基部のspot,後胸後縁部の長毛,前・中・後脚などの色彩が異なる.また幼虫は樹皮下を加害しそこで繭を作り蛹化するのに対して, S siningensisでは木部に上下にトンネルを作るなど幼虫の生態にかなりの違いが見られる.