1996 年 47 巻 2 号 p. 103-105
1994年7月に沖縄島でスカシバガの採集調査を行ったおり,アカネ科(Rubiaceae)のヘクソカズラ(Paederia scandens)のツルにスカシバガ類の蛹の脱皮殻のついた虫エイを見つけた.その蛹の脱皮殻のついた虫エイはヒメアトスカシバNokona pernix(Leech,1889)に酷似していたので,我々はアカスカシバN.rubra Arita and Tosevski,1992であると推定した.同年9月にも奄美大島でも多くの小さい幼虫が入った虫エイを見つけたが,幼虫が小さいため飼育は断念した.翌年1995年1月に那覇市在住の木村正明氏より同地のヘクソカズラの虫エイを送ってもらい飼育したところ,予想通りアカスカシバが2♀,4月23日と6月5日に羽化した.蛹化に際してはヒメアトスカシバ同様黒褐色の鞘状の繭を作るが,ヒメアトスカシバでは越冬前に作るのに対して,アカスカシバでは越冬後に繭を作った.