蝶と蛾
Online ISSN : 1880-8077
Print ISSN : 0024-0974
ヒメコスカシバSynanthedon tenue(Butler)(鱗翅目,スカシバガ科)の日本からの4新食樹の記録
有田 豊Oleg G. GORBUNOV池田 真澄平尾 和昭
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1997 年 48 巻 4 号 p. 199-202

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抄録

スカシバガ科のヒメコスカシバのSynanthedon tenue(Butler)は多食性のスカシバガであり(Arita&Gorbunov,1995),いままでに次の5種類の食餌植物が記録されている:カキノキ(カキノキ科),ヤナギの1種(ヤナギ科),クリ,カシワ(ブナ科),クマイチゴ(バラ科)(Yano,1961;有田ほか,1994;Arita,1994;Arita&Gorbunov,1995).今回,さらに次の3科にわたる4種類の植物が新たに食餌植物として確認されたので記録する.フジWesteria floribunda(マメ科Leguminoseae)の細いツルにゴールを形成し(Fig.10),ゴールから本種の成虫が羽化してきた(Figs 1,2,8).クマシデCarpinus japonica(カバノキ科Beturaceae)の太い主幹の樹皮下に潜り(Fig.9),そこから成虫が羽化した(Figs 3,4).カワラハンノキAlnus serrulatoides(カバノキ科Beturaceae)の細い幹に潜り,そこから成虫が羽化してきた(Figs 5,6).アラカシQuercus glauca(ブナ科Fagaceae)の樹幹の樹皮下を食害しているカシコスカシバSynanthedon quercus(Matsumura,1911)の幼虫を木屑とともに採集し,飼育をしていたところカシコスカシバと共に本種が羽化してきた(Fig.7).ヒメコスカシバの食餌植物は6科9種類が記録されたことになる.

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© 1997 日本鱗翅学会
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