蝶と蛾
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日本産イカリモンガ科の蛹(鱗翅目)
中村 正直
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2011 年 62 巻 2 号 p. 98-101

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抄録

日本から記録されたイカリモンガ科(Callidulidae)の2種,Callidula attenuata MooreベニイカリモンガおよびPterodecta felderi Bremerイカリモンガの蛹の形態を記載し,併せて本科の系統的位置を蛹の形態から改めて推定した.Minet(1989)はイカリモンガ科を3亜科に分け,そのうちPterothysaninaeに属するマダガスカルのHelicomitra属の蛹について記載している(Minet,1987)が,この図をみるとわが国に産するCallidulinaeのものとは著しく異なっており,寧ろBombycoidea,殊にスカシサンPrismosticta hyalinata Butlerの蛹(Nakamura,2007)に近似していることが分かる.これからみて,少なくともPterothysaninae亜科は東洋のCallidulinae亜科とは全く別の,大蛾類に属する1つの科を形成するものと思われ,真のイカリモンガ科はMinetのいうイカリモンガ亜科(Callidulinae)のものに限らなければならない.中村(1980)やTschistjakov and Belyaev(1987)は本科をメイガ科に近いものとしたが,Minet(1991)はその見解を否定し,寧ろ蝶類やカギバ上科に近いものであると考えた.しかしこれはPterothysaninaeを考慮に入れた結果に過ぎず,寧ろ本科は蛹の形態からみてセセリモドキガ科(Hyblaeidae)に最も近似するものであると考える.

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© 2011 日本鱗翅学会
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