蝶と蛾
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ナス科を加害する日本産キバガ科とトマトキバガの幼虫における識別(鱗翅目:キバガ科)
酒井 大輔坂巻 祥孝
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2025 年 76 巻 1 号 p. 31-41

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抄録

トマトキバガTuta absoluta(鱗翅目:キバガ科)は世界的にトマトの最も重要な害虫のひとつと言われている.本種は南米原産であるが,2006年にスペインで確認され,2012年までにヨーロッパ全土,北アフリカ,中東,そして最近では東アジアへと急速に分布を広げた.日本では2021年に熊本県と宮崎県で初めて発見され,現在までにほぼ日本全土の都道府県から採集記録が得られている.本研究では,このトマトキバガの幼虫期全齢期の形態学的特徴を調べ,他の日本産ナス科に寄生する本種に近縁なキバガ科の幼虫と比較した.日本にはナス科を食害するキバガ科蛾類として,ジャガイモキバガPhthorimaea operculellaとヒヨドリジョウゴキバガErgasiola ergasimaの2種がいる.これらの種の幼虫と異なり,トマトキバガ3-4齢幼虫では前胸背板は後縁のみが茶褐色であること,トマトキバガ1-4齢幼虫では腹部第1-8節のSD2刺毛がSD1刺毛の刺毛基板から離れて生じることから識別が可能であった.また,トマトキバガおよびジャガイモキバガに対して,ヒヨドリジョウゴキバガは腹部第2節のSV刺毛群3本が同一の基板から生じていることで他の2種と区別ができた.

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© 2025 日本鱗翅学会
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