日本物流学会誌
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都市内の集配活動における旅行時間に関する研究
岡山 正人今井 昭夫
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1996 年 1996 巻 5 号 p. 101-109

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抄録

近年、配送車をより効率よく運行するために、最適な配送ルートを決定する方法が数多く考案されてきている。しかしながら、最適な配送ルートを決定する際に必要となる取引先間の旅行時間にはその区間距離を用いる場合が多く、現在の都市内のように渋滞が頻繁に発生する交通環境下においては、得られた最適な配送ルートの解は必ずしも実用的な解であるとは言い難い。
従来からこのような車両の旅行時間の推定には、車両感知器による交通量をベースにして行う方法などが研究されている。しかし都市内の集配では、必ずしも対象地域全体が車両感知器でカバーされていないばかりでなく、一方通行がある裏通りなど多様な道路が混在しており従来の方法では無理がある。
そこで本研究ではまず、機械卸における貨物車の配送ルートから得られたデータをもとに、重回帰分析を用いた簡便な旅行時間の推定モデルを構築する。そしてこれにより、旅行時間推定のために必要な変数とその特性を検討するとともに旅行時間の推定上の問題点などについて分析した。
その結果、集配活動の旅行時間を推定するにはどのような変数が必要であるかを示すとともに、配送ルートの特性や交通量が旅行時間にどのような影響を与えるかについて明らかにできた。すなわち、交通量の多い夕方では「表通りの距離」と「右折回数」が旅行時間に大きな影響を与えることがわかった。しかし、本研究で構築した旅行時間の推定モデルは、旅行距離が長くなると推定値の分散が大きくなるなどの問題点があった。

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