2002 年 2002 巻 10 号 p. 105-112
近年の競争優位なビジネスモデル事例を検討すると、顧客への提供価値を意思決定し、これを実現するためのビジネスプロセス全体を設計し、自己のビジネス・リスクを吸収する特徴的な仕組みを有している.これを垂直統合型サプライチェーンと呼ぶことにする。本論文では、衣料品、生鮮食品、電子製品関連製造業の3つの事例を検討した。その結果、垂直統合型サプライチェーンには、 (1) 製品政策と適切な在庫配置、 (2) 需給の同期化、 (3) 製品ライフサイクルへの適応、 (4) アウトソーシング戦略によって、ビジネス・リスクを回避する機構が組み込まれており、いずれにもITが効果的に活用されていることが判明した。