抄録
欧州委員会は、2001年に運輸白書を発表し、2010年までの共通運輸政策の柱に持続可能性を据え、環境を重視する方針を示した。貨物輸送は重要な政策課題として位置づけられ、道路輸送から鉄道、海運、内陸水運、複合輸送に輸送機関の均衡を移動する政策を提唱している。輸送機関別には、トラック輸送産業の激しい競争体質を改善する一方で、鉄道の再活性化を図ることにより、輸送機関間の競争の均衡を図ろうとする。また、異なる輸送機関の接続を改善し、ボトルネックを改善することにより、大量輸送機関の長所を活用しようとしている。持続可能性を重視するEUの貨物輸送政策は、環境問題への対応に迫られる日本にとっても重要な参考事例となり、今後の展開が期待される。