抄録
現在、温室効果ガスによる地球温暖化等の環境破壊が、重要な問題となっている。このため、トラックから海運や鉄道へのモーダルシフトに関する数多くの研究がなされてきた。しかし、依然としてモーダルシフトは、推進されていない。そこで、本論文では、貨物輸送に新幹線を用いることができる可能性について検討した。具体的な検討方法としては、運賃と所要時間を主な要因とする犠牲量モデルを用い、輸送手段を選択する際の荷主の選択行動を表現し、東海道・山陽新幹線で輸送される輸送貨物量を求めた。
その結果、新幹線による総輸送量は3日間で約9万トンであり、編成数にすると、1日あたり106編成分の値となり、十分な輸送需要が見込め、貨物輸送の可能性があることがわかった。そして、この結果をもとに二酸化炭素削減量の推計を行い、環境の面から新幹線を用いた貨物輸送の有効性を示した。その結果、新幹線を貨物輸送に用いた場合、モーダルシフトによる削減目標量、440万t-CO2の内の13.4%に相当することから、二酸化炭素削減に有効な手段である事がわかった。