抄録
近年、日系自動車メーカーの海外生産拠点でミルクランによる部品調達が主流となってきた。タイにおける日系の主要自動車メーカーのミルクランを調査研究した結果、当初は生産規模の小さい段階で、物流効率を上げるためにミルクランが導入されたものの、現在では生産工程に同期化した小ロット・多頻度調達を高精度で、しかも極力在庫を排除するための仕組みとして構築・運用されていることが理解された。また、ミルクランによって部品の調達物流のプロセスを組立メーカー側でリアルタイムに把握し、きめ細かなコントロールが可能になると共に、コストの明確化とサプライヤーを巻き込んだ改善活動の取り組みも高度に実施されていることが明らかになった。