抄録
本稿は、これまで物流研究者がパラダイムとして共有してきた諸点に、進化経済学的立場から検証を加えることを目的としている。まずロジスティクスの学問分野としての発展の方向性を見定めることから始め、大命題である「効率向上」の合理性の問題を取り扱う。その中で「最適化」概念が曖昧なものであることを指摘する。更に、「在庫圧縮」「IT駆使」「付加価値化」「供給連鎖統合」「アウトソーシング」といった物流パラダイムが永続的なものではないことを例証する。最後に今後の物流パラダイムの進化に大きな影響を与える可能性のある「輸送能力」「物流市場構造」「地球環境保全」および「動態的視点の重要性」について言及する。