哺乳類科学
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原著論文
野生雄ホンドテンにおける精巣サイズ,血漿テストステロン濃度ならびに行動の周年変化
河内 紀浩山本 祐冶今井 清
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2003 年 43 巻 2 号 p. 93-98

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抄録

本研究は野生雄ホンドテン(Martes melampus melampus: 以下,テンと略す)の精巣サイズ,血漿テストステロン濃度,行動圏面積およ活動量の周年変化に関して追究し,得られた結果に基づき,テンの交尾期の推定を試みた.調査は本州のほぼ中央,赤石山脈の最北端に位置し,亜高山帯に含まれる標高 1955m の長野県入笠山を中心とする地域で,1996年9月から1997年8月の間,実施した.この期間中に,15個体の雄についてのべ46回捕獲し,精巣サイズならびに血漿テストステロン濃度を測定した.さらに,ラジオテレメトリー法により得られたデータを用いて行動圏面積および活動量を解析した.精巣サイズは4月に増大し始め,6月下旬から7月中旬の期間に最高値を示した.血漿テストステロン濃度は5月と6月に高値を示し,7月にやや低くなった.行動圏面積は7月に最大を示し,活動量は7月と8月に最も高くなった.これらの結果から,本調査地域におけるテンの交尾期は7月であると推定された.

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© 2003 日本哺乳類学会
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