最高峰の雲取山(2,017 m)をはじめとした東京都西端部の山地における小型哺乳類(真無盲腸類・ネズミ類)の生息状況については近年の情報が乏しい.そのため,2020年度版に向けた東京都レッドリスト改訂作業の一環で,赤指山(1,332 m)の中腹(約1,000 m)の植林地および雲取山山頂周辺の亜高山帯の針葉樹林と広葉樹林において,それぞれ2019年8月と10~11月に小型哺乳類の調査を行った.その結果,6種24個体が捕獲され,赤指山ではアカネズミApodemus speciosus,ヒメネズミA. argenteus,雲取山ではヒメヒミズDymecodon pilirostris,ヒミズUrotrichus talpoides,ヤチネズミCraseomys. andersoni,スミスネズミC. smithii,ヒメネズミが確認された.準絶滅危惧(NT)と評価されるヒメヒミズとヤチネズミの生息が確認されたことは注目に値する.種構成は2000年以前の報告と大きな違いはなかったが,雲取山の一部の地点および赤指山ではニホンジカCervus nipponの採食圧の増加に伴う林床の乾燥化が及ぼす小型哺乳類相への影響が示唆された.
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