哺乳類科学
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原著論文
親子判定で明らかになったツキノワグマ幼獣の単独行動
鵜野 レイナ東 英生玉手 英利
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2009 年 49 巻 2 号 p. 217-223

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抄録
本研究では,遺伝マーカーをツキノワグマ(Ursus thibetanus)の個体レベルの生態学的研究に応用した一例を報告する.2007年2月に,衰弱した仔グマが山形県鶴岡市の旧朝日村地区で保護された.マイクロサテライトDNAとミトコンドリアDNAについて,同地域で有害捕獲されたメス成獣と保護個体の遺伝子型を照合した結果,母親と推定される個体が2006年10月に捕殺されていることが明らかになった.この保護個体は0歳の秋に母親と別れ,厳冬期に至る110日間を単独で行動していた可能性がある.
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© 2009 日本哺乳類学会
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