哺乳類科学
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原著論文
西表島南海岸におけるリュウキュウイノシシSus scrofa riukiuanusによるウミガメ卵捕食と砂浜利用の季節的変化
笹井 隆秀亀田 和成伊澤 雅子
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2016 年 56 巻 2 号 p. 97-103

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抄録

西表島の南海岸に位置するウブ浜およびサザレ浜において,リュウキュウイノシシSus scrofa riukiuanusによるウミガメ卵への捕食圧の程度,およびその季節的な変化に関する調査を行った.2010年にはウブ浜では34,サザレ浜では60のウミガメの産卵巣を確認し,そのうちイノシシに捕食されたものは,ウブ浜34巣(100%),サザレ浜26巣(43%)であった.イノシシの行動を30回観察した結果,ウミガメの掘ったボディピット内で穴を掘るなど直接捕食に関わる行動が17回(57%)観察された.ウブ浜内におけるイノシシの砂浜への出現頻度はウミガメの産卵巣数の季節的増減と対応した傾向を示した.また,イノシシの足跡およびウミガメのボディピットの分布は,ともに植生帯の近くに多かった.これらのことから,イノシシがウミガメの産卵期に合わせて砂浜へ出現し,選択的にウミガメ卵を捕食していることが明らかになった.

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© 2016 日本哺乳類学会
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