2020 年 60 巻 2 号 p. 341-344
イノシシ(Sus scrofa)保護管理は個体数調整だけではなく,被害管理や生息地管理と併せて実施されている.これら総合的な保護管理の中でも個体数調整のニーズは高く,近年その強化が図られている.しかし,イノシシの生息場所である林縁部周辺は雑木林や竹林のほか,管理不足の樹園地等多様な植生を含んでおり,他の中・大型哺乳類の生息地と重複することが多いため,イノシシをわなへ誘引するにあたり錯誤捕獲発生のリスクが高まる.このようなイノシシ保護管理の必要な場所は条件不利地でもあることから,ICT捕獲機材の導入や人材の育成教育により捕獲の省力化と錯誤捕獲のリスク軽減を併せて行う必要がある.