2024 年 64 巻 2 号 p. 199-205
ヒナコウモリVespertilio sinensisは夏季に妊娠メスのみからなる出産哺育コロニーを形成し,この時期のオスについて,ねぐらの利用様式や毛色は不明であった.このため,バットボックスを用いた成獣オスのねぐら動態および毛色の性差について調査を行った.バットボックスは出産哺育期に成獣オス計6個体によって14回利用された.バットボックスを単独または3個体までの複数個体で利用し,メスと同じバットボックスを利用することはなかった.出産哺育期では性的なねぐら分離が起きており,成獣オスは離合集散の社会性を持つことが示唆された.毛色は,成獣オス個体は4月から8月にかけて顕著な毛色および毛並みの変化が見られなかったのに対し,メスは出産哺育期に体毛が顕著に明るい茶色(赤みのある茶褐色)に変化し,背中の毛が一部抜け落ちていた.毛色の観察によって成獣メスか否かを判別できる可能性が示された.