抄録
本稿の目的は,日本語非母語話者が関わる日本語会話場面の心理面の調節を明らかにし,対話者が日本語母語話者の場面と非母語話者同士の場面で,どのように変動しているかを検討することである.本稿は74名のアジア系留学生を対象に,会話に必要な注意・気遣いを,対話者が日本人/留学生の2場面でどの程度行っているかについて質問紙調査を行った.得られた148ケースについて因子分析をした結果,6つの配慮が抽出された.また各因子の因子得点についてt 検定した結果,対話者が日本人の場面では,相手の様子に注意を払い,対立や問題を避けようと意識する一方,留学生同士の場面では,自己表現を積極的に行い,話の内容を深めようと意識していることが明らかになった.この結果から,心理面の調節を変動させることが「母語話者と話すときは緊張するが,非母語話者同士で話すときはリラックスできる」という非母語話者自身の見解と関連していることが示唆された.