計量国語学
Online ISSN : 2433-0302
Print ISSN : 0453-4611
最新号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
2022 年度テーマ特集 文体,ジャンルの特徴をとらえる計量研究
特集・論文B
  • 出産経験のある女性のSNS投稿を用いた調査
    尾木 竜司, 池田 大輔
    原稿種別: 論文B
    2023 年 33 巻 8 号 p. 571-585
    発行日: 2023/03/20
    公開日: 2024/03/20
    ジャーナル オープンアクセス
    文章には書き手の個性が表れ,その個性は大きく変化しないこと(個人内恒常性)が知られている.逆に,メンタルヘルスの異常など書き手の内面の大きな変化が恒常性の崩壊につながることを示せれば,文体的特徴の変化から内面の変化を検出できるようになる可能性がある.特定の個人に対し,内面の大きな変化によって文体的特徴が変化することが示されているが,内面に同じ変化を持つ集団を集めるのは困難であり,統計的には示されていない.本研究では,出産は内面に大きな変化を与えると考え,出産経験のある女性らのブログの文体的特徴を調べた.単語の使用率など文章の内容に依存する特徴を用いると,書き手の内面の変化ではなく生活環境の変化を検出してしまう.そこで,非内容語の使用率や品詞のbigramの出現率などの,文章の内容に依存しない特徴を用いた.検証した全ての特徴において,出産を経ることで通常の変動よりも変化することがわかった.
一般論文
論文B
研究ノート
  • 横山 詔一, 前田 忠彦, 高田 智和, 相澤 正夫, 野山 広, 福永 由佳, 朝日 祥之, 久野 雅樹
    原稿種別: 研究ノート
    2023 年 33 巻 8 号 p. 602-611
    発行日: 2023/03/20
    公開日: 2024/03/20
    ジャーナル オープンアクセス
    1948年に実施された日本人の読み書き能力調査のデータを用いて非識字率と生年との関係を分析した.言語変化のS字カーブ説と見かけ上の時間の考え方を援用して,非識字率を目的変数,生年と居住地(市部/郡部)を説明変数とするロジスティック回帰分析をおこなった.その結果,非識字率と生年には逆S字カーブの関係が認められ,生年が遅くなる(年齢が若い,下限は15歳)ほど非識字率が低下することが明らかになった.その主要な原因として,義務教育無償化による学習機会向上の効果が時間経過とともに顕在化したことが考えられる.また,郡部の非識字率の逆S字カーブをグラフ横軸(生年)に沿って左方向に6年間分平行移動させると,市部の逆S字カーブに重なることも示した.
文献紹介
解説
  • 荻野 綱男
    原稿種別: 解説
    2023 年 33 巻 8 号 p. 619-631
    発行日: 2023/03/20
    公開日: 2024/03/20
    ジャーナル オープンアクセス
    電子付録
    本稿では以下の4点を述べる.第1に,クロス集計表(クロス表)がどういうものであるかを述べる.本来のクロス表の例を示すとともに,それからやや外れた表も示し,クロス表の性質について考察する.第2に,同じ選択肢群による複数の質問群の単純集計を並べた拡張クロス表というものを提示する.拡張クロス表は従来のクロス表と同様に扱えるが,それとともにデータ分析に有利な点がいくつかあるので,それを解説する.第3に,拡張クロス表を扱うのに適した交互平均法の計算法を説明する.具体的なクロス表に基づいて,電卓でも計算できるように計算手順を示す.第4に,交互平均法の特徴を述べ,どのようなデータに適用するといいかを解説する.  このようにして,本稿全体として,クロス表の形で示されるデータを分析する際の交互平均法のメリットを述べることにする.
feedback
Top