日本語の日常会話においては,連母音アイが母音融合によりエー形へ変化することがある.この変異については現在まで方言に焦点を当てた研究や特定の事例を対象とした調査が行われてきたが,その要因については充分に論じられてきたとはいえない.本研究では,日本語日常会話コーパス(Corpus of Everyday Japanese Conversation)を用い,エー形の変異に関与する言語内外の要因についてロジスティック回帰分析を含む統計的分析を行った.その結果,エー形の出現においては話者の性別が最も重要な要因であることが明らかになった.特に,男性話者がエー形を使用する傾向があった.また,言語内部要因としては品詞が最も強い影響をもち,主に形容詞および助動詞に出現しやすい傾向にあった.