2020 年 37 巻 p. 45-49
新型MAZDA3では,エンジン音や路面からのロードノイズを低減し,車内での会話や音楽を聴きやすくするだけでなく,走行中に変化するそれらの音から周囲の状況を認識できるような「質の良い静粛性」で,安心・快適な車室内空間を実現した。新世代車種においてはこれに加えて,音は人にとって次の行動を決めるための情報であることに着目し,加速・減速時のエンジンサウンドを活用することで,更に意のままに車を操れる状態へ近づけると考えた。音で伝える情報,タイミングを定義し,これらの要素を反映したエンジンサウンドの構築を行った。このエンジンサウンドが走行速度のばらつきの抑制効果があると仮説し,シミュレーターを実装した車両による検証で明らかにできた。サウンドの機能として,車を意のままに操ることへ貢献できるという新しい価値を定めることができた。