抄録
今回われわれは、後腹膜より発生したリンパ管腫の稀な1例を経験したので報告する。症例は72歳、男性。右下腹部に腫瘤を触知し当院受診。血液、生化学検査は正常で、腫瘍マーカー(CEA、CA19-9)も正常範囲だった。腹部超音波検査とCT検査にて右下腹部に10cmの嚢胞を認めた。腹部MRI所見:嚢胞内腔はT1強調像でlow intensity、T2強調像ではhigh intensityを呈した。後腹膜リンパ管腫の診断にて、開腹し腫瘤を完全に摘出した。摘出腫瘤は後腹膜から発生し、11×7.5×6cmの嚢胞であった。壁は薄く充実成分なく平滑であった。嚢胞の内容は漿液性で、腫瘍マーカー(CEA、CA19-9)は正常範囲内であった。病理組織所見では、壁は不規則な太さの平滑筋束の走行が目立ち内腔は単層の扁平な内皮細胞で被覆され、悪性所見もなくリンパ管腫と診断した。術後3年現在経過良好で再発も認めない。今回、若干の文献的考察を加え報告する。