2014 年 18 巻 1 号 p. 5-10
平成19 年頃から救急搬送受入不応需,いわゆる「たらい回し」が社会問題となってきた.当院では平成20 年から救急搬送不応需に関する統計をとってきたが,この2 年で不応需例が急増した.そこで過去5 年間の不応需の不応需理由等について検討した.結果,「心肺停止(CPA)症例対応中を含む複数患者受入中」,「当該科医師対応不能」,「救急病棟・集中治療室(ICU)満床」の増加が主因であった.この結果は,当院に特異的なものでなく,日本全国の救急医療機関に共通するものであった.救急医療需要過多と供給不足の問題は,簡単に解決できるものではないが,それぞれの地区の事情に応じて,行政,医療機関,住民が一体となっての救急医療に取り組むことが必要であろう.