抄録
環境学習・体験施設への人々の価値観や要求が多様化する中,行政サービスの整理・縮小等により,施設を担う組織や運営のあり方を見直す時期にきている。本稿は,筆者らの博物館運営に関する諸プロセスで得た知見に基づき,施設の運営において肝要な点を整理したものである。まず,来館者の興味関心を効果的に引き出し,セルフで学習できるコンテンツの開発やリピーター創出の仕掛けづくり等を実践する上で,エデュケーターの発想やノウハウが不可欠であることをあげた。次に,他施設とのネットワークを構築し,地域との連携を強化する具体例をあげるとともに,地域で生涯学習や施設の運営を担うことのできる人材育成に取り組む必要性について紹介した。そして,魅力ある施設であり続けるためには,社会情勢に対応した運営組織へと常に進化し続ける姿勢が重要であることを示した。