廃棄物資源循環学会誌
Online ISSN : 2187-4808
Print ISSN : 1883-5864
ISSN-L : 1883-5864
最新号
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
年頭所感
特集:災害ごみに関する国際的な動向―災害廃棄物研究部会特集―
  • 浅利 美鈴, 鈴木 慎也
    2024 年 35 巻 1 号 p. 3-4
    発行日: 2024/01/31
    公開日: 2024/03/23
    ジャーナル フリー
  • 鳥居 ほのか, 小野 雄基, 岸野 泰治, 鈴木 慎也, 石垣 智基, 東 信太郎
    2024 年 35 巻 1 号 p. 5-17
    発行日: 2024/01/31
    公開日: 2024/03/23
    ジャーナル フリー

    近年,気候変動に伴う災害の激甚化により,全国各地で甚大な災害が発生し,それぞれの被災地では災害廃棄物対策が進められてきた。災害廃棄物の迅速かつ適切な処理がその後の復興に向けた重要なポイントであり,このため平時から災害廃棄物対策に対する準備を行なっておくことの重要性が認識されている。

     世界においては,気候変動の影響等により近年,洪水等の自然災害の発生が増加・激甚化している。特にアジア・太平洋地域においてその傾向は顕著であり,都市化の進展もあって災害廃棄物の発生量も増大している。当該地域では災害廃棄物対策に対する十分な備えができていない地域もあり,災害に伴い発生した廃棄物の適切な処理が,迅速な復興への大きな課題となっている。

     本稿では,環境省がこれまで行なってきた当該国への災害支援や,災害廃棄物管理を促すために行なってきたガイドラインや技術資料の作成,各国の実情を調査した上で政策立案等の支援内容を概説する。

  • ――全国規模での連携と国際連携について ――
    目黒 公郎
    2024 年 35 巻 1 号 p. 18-26
    発行日: 2024/01/31
    公開日: 2024/03/23
    ジャーナル 認証あり

    本稿では,まず,大正関東地震がわが国に与えた真の影響に関して述べる。理由は「巨大災害発生時の災害廃棄物の問題」に関しても影響が大きいからである。そのうえで,災害廃棄物問題を含め,首都直下地震や南海トラフ巨大地震発生に向けた災害対策の課題とその背景を,過去の歴史を踏まえて考察する。重要な点は,事前対策費と違って,復旧・復興費等の事後対策費は,財政措置が難しい中で工面するにもかかわらず,地元に落とすことができない。被災地の能力が求められる対応力に及ばない場合,被災地をスルーして外部に流れるからである。国難級災害といわれる首都直下地震や南海トラフ巨大地震の発生時には,日本をスルーして海外に資金が流出する可能性がある。これを改善するための方策は,質的・量的な対応力の確保と資金の流出を防ぐ意味でとても重要であるが,これが十分に認識されていないことが大きな問題である。

  • 三村 悟
    2024 年 35 巻 1 号 p. 27-35
    発行日: 2024/01/31
    公開日: 2024/03/23
    ジャーナル 認証あり

    大洋州島嶼国は国土が狭く国内市場も小さいことから,リサイクルや廃棄物処理について解決が難しい多くの課題を抱えている。また,海に囲まれた島々は熱帯域のプレート境界周辺に位置することから多くの自然災害にさらされ,社会基盤の脆弱性も高く,災害リスクが高い国々である。このため災害により発生したがれきや廃棄物の処理には一層の困難がある。(独)国際協力機構(JICA) は2000年から,大洋州島嶼国を対象とした廃棄物管理を担う人材育成の技術協力を継続的に行なってきた。地域国際機関と連携し,島嶼国同士が互いの経験や成功例を学びあうという特徴のある取り組みは,四半世紀近く行われてきた中で多くの災害にも直面し,小島嶼特有の困難を克服したその経験をも教訓として地域で共有している。本稿では,大洋州地域での災害廃棄物に関する JICA による協力の概要を紹介し,地域が抱える将来に向けた課題を論じる。

  • 東 信太郎
    2024 年 35 巻 1 号 p. 36-43
    発行日: 2024/01/31
    公開日: 2024/03/23
    ジャーナル フリー

    災害廃棄物管理に関する各国の政策をみていくと,その準備は必ずしも十分であるとはいえない。一方,東南アジアにおいては,いくつかの国において,災害廃棄物管理のガイドライン類の策定が進められている。具体的な動きの中で,フィリピンにおける動向を整理する。近年,フィリピンにおいては災害廃棄物管理への関心が高まり,いくつかの取り組みが開始されている。そうした動きを包括的に整理した事例はなく,本稿では中央政府,地方政府,その他のセクターの動きを整理していく。注目すべき点として,中央政府とマニラ首都圏において,災害廃棄物のガイドライン制定に向けた準備が進められていることを紹介し,その比較分析を行なった。結論として,災害廃棄物管理の現状把握や,政策検討を行う上で,「根拠法」を明らかにすること,多様な「ステークホルダー」を包含することで現実的かつ実効性を伴う政策を策定することができるという点を提案する。

  • 眞鍋 和俊, 串山 傳
    2024 年 35 巻 1 号 p. 44-53
    発行日: 2024/01/31
    公開日: 2024/03/23
    ジャーナル 認証あり

    発災前に災害廃棄物処理計画の策定や BCP (Business Continuity Plan) の策定等を行うことで,災害廃棄物の円滑かつ迅速な処理を実現することが可能となる。実効性の高い災害廃棄物処理計画を策定するためには,災害廃棄物発生量を精度よく推計する必要がある。今回,地図情報,衛星情報等を用いて人工構造物の多い地域を識別し,人口密度等から建物棟数を推計した上で,世帯あたりの延床面積を乗じることで,建物由来の災害廃棄物発生ポテンシャル量の推計の可能性を見出せた。ただしこれは,その地域に存在する建物の延床面積を示したものであり,重量換算するためには,建物構造別の延床面積あたりの原単位を整理する必要がある。本稿では,日本,上海およびインドネシアの原単位を紹介したが,アジア太平洋諸国についても,存在する建物構造を整理し,それぞれの原単位を設定しておくことで,建物由来の災害廃棄物発生ポテンシャル量が重量ベースで推計可能となる。

第34回廃棄物資源循環学会研究発表会報告
廃棄物資源循環学会研究部会報告
支部特集/支部だより
書評
feedback
Top