廃棄物資源循環学会誌
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巻頭言
特集:廃棄物・資源循環分野におけるPFASの分析
  • 切川 卓也
    2026 年37 巻3 号 p. 187-194
    発行日: 2026/07/29
    公開日: 2026/09/03
    ジャーナル フリー

    ペルフルオロアルキルおよびポリフルオロアルキル化合物(PFAS)の一つであるペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)やペルフルオロオクタン酸(PFOA)等はヒトの健康の保護の観点から,残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(POPs 条約)において,残留性有機汚染物質(POPs)の製造・使用の原則禁止,退蔵品の適正な管理,廃棄物の環境上適正な処分等が規定され,その目標値や基準に関し国際的にもさまざまな科学的な議論が行われている。また,これまでに局地的に比較的高濃度が検出された地域の関係自治体や地元住民からは,その影響に関する不安や,目標値や基準値の検討等の対策を求める声が上がっている。環境省では,こうした状況を受けて,国内外の最新の科学的知見および国内での検出状況の収集・評価を行い,これらを踏まえた科学的根拠に基づくPFASへの対応を検討している。

  • ── 廃棄物・水試料中のPFAS分析法 ──
    矢吹 芳教
    2026 年37 巻3 号 p. 195-202
    発行日: 2026/07/29
    公開日: 2026/09/03
    ジャーナル フリー

    国内外の公的機関等から発出されている水試料および固形物試料を対象としたペルフルオロアルキル化合物およびポリフルオロアルキル化合物(PFAS)分析法について,対象化合物,抽出・精製法および分析装置の観点からとりまとめた。廃棄物・資源循環分野におけるPFAS分析の課題として,水試料については他の環境試料と比較して妨害物質の影響が大きいこと,固形物試料については抽出溶媒や抽出方法が定まっておらず,今後の検証が必要であることが洗い出された。また,廃棄物の埋立層内では嫌気的および好気的環境下で微生物反応により前駆物質からペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)およびペルフルオロオクタン酸(PFOA)等が生成される可能性があることから,廃棄物・資源循環分野全体としてのPFAS管理のためには,PFOSおよびPFOA等だけでなく,それらの前駆物質についても測定する必要がある。

  • ── 汚染防止,吸着抑制および分析妨害成分について ──
    小野 純子
    2026 年37 巻3 号 p. 203-212
    発行日: 2026/07/29
    公開日: 2026/09/03
    ジャーナル 認証あり

    有機ふっ素化合物の一種であるペルフルオロアルキル化合物およびポリフルオロアルキル化合物(PFAS)は有害性のほか,難分解性,高蓄積性および長距離移動性という性質をもち,国内外で規制が強化されている。近年,廃棄物最終処分場の浸出水から高濃度のPFASが検出される事例が報告されており,廃棄物・資源循環分野においてもモニタリングの重要性が高まっている。しかしPFASは極めて低濃度での評価が求められる一方,外部汚染や器具・容器への吸着の影響を受けやすく,精度管理が難しい。本稿では,既報文献および著者らの経験を基に,PFAS分析におけるサンプリング,分析環境管理および前処理操作の各段階での留意点を整理した。また当研究所における処分場浸出水を対象とした前処理方法を例に,汚染防止,吸着抑制および分析妨害成分の低減に関する一例を紹介した。これらの知見は,廃棄物分野におけるPFAS調査の分析精度および信頼性の向上に資するものと考えられる。

  • 井上 豪
    2026 年37 巻3 号 p. 213-227
    発行日: 2026/07/29
    公開日: 2026/09/03
    ジャーナル フリー

    近年,ペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)・ペルフルオロオクタン酸(PFOA) をはじめとする有機ふっ素化合物のうち,ペルフルオロアルキル化合物およびポリフルオロアルキル化合物 (PFAS) による汚染が全国で問題となっているが,その測定には多大な労力と費用が必要となるほか,ng/Lオーダーでの測定となるため,装置内の汚染や使用する器具等から容易に汚染する等の問題もある。可能な限り少ない労力・費用で数多くの検体を高感度・低汚染で測定するため,オンライン固相抽出法を用いたPFAS測定を検討した結果,低コスト・低労力な操作で,高感度かつ汚染のおそれも少ない方法を確立したほか,この方法を用いた環境水の測定で添加回収試験やサロゲートの回収率において良好な結果を得た。また,この方法を用いて廃棄物や土壌の溶出試験の検討を行なったところ,PFASはごく短時間で溶出する可能性が示唆された。

  • 坂本 和暢, 藤川 和浩
    2026 年37 巻3 号 p. 228-238
    発行日: 2026/07/29
    公開日: 2026/09/03
    ジャーナル フリー

    フルオロテロマーアルコール類(FTOHs)等は,ペルフルオロアルキル酸類(PFAAs) の前駆物質で,半揮発性を有するため,大気経由で長距離輸送される可能性があり,好気的および嫌気的な微生物分解を経てペルフルオロアルキル化合物およびポリフルオロアルキル化合物(PFAS) へと変換される。本稿では,これらPFAAs前駆物質の環境動態,PFASの規制強化に伴う国内外の検出実態,および大気や水質試料における最新の分析手法等,科学的知見について包括的に概説する。また,最終処分場浸出水に対する分析法を検討し,本手法を実際の浸出水試料へ適用した結果についても報告する。

  • ── 測定対象,存在形態,採取設計の整理 ──
    和田 匡司
    2026 年37 巻3 号 p. 239-250
    発行日: 2026/07/29
    公開日: 2026/09/03
    ジャーナル フリー

    熱処理プロセスからのペルフルオロアルキル化合物およびポリフルオロアルキル化合物(PFAS) 排出把握は重要であるが,物質の多様性や排ガス中の挙動の複雑さから,測定手法の標準化は遅れている。本稿では国内外の最新知見をもとに,排ガス中PFASモニタリングの現状と課題を整理した。まず測定対象の存在形態と,採取トレイン内での相間移行や器材への吸着といったアーティファクトを概観し,測定を単なる採取作業ではなく「システム」として捉える視点の重要性を示した。また国内外の手法比較を通じ,単一手法での網羅的把握は実務上困難であるとし,規制管理から副生成物探索まで,評価目的に応じて最適な手法を選択する「目的適合設計」への転換が求められることを述べた。今後の国内における多様なニーズへの対応に向け,模擬試験等を通じて基礎データを蓄積し,この目的適合設計の枠組みを確立していくことが,確かなPFAS管理基盤を構築するための最大の課題である。

  • 水谷 聡, 遠藤 和人
    2026 年37 巻3 号 p. 251-258
    発行日: 2026/07/29
    公開日: 2026/09/03
    ジャーナル フリー

    ペルフルオロアルキル化合物およびポリフルオロアルキル化合物(PFAS),特にペルフルオロアルキルカルボン酸(PFCAs) とペルフルオロアルキルスルホン酸(PFSAs) を対象にした溶出試験法について整理した。まず溶出試験についての基本的な用語である,含有量/溶出量/溶出可能量,溶出液/浸出水等について整理した。続いて,欧州のHarmonizationプロジェクトと米国環境保護庁(US EPA) のSW-846に組み入れられた溶出性環境評価フレームワーク (LEAF) を紹介した。さらにPFASの溶出挙動に関する既存の知見を整理した。溶出試験の操作因子を変更した際のPFASの溶出挙動変化を研究した例はほとんどみられなかったが,バッチ試験とカラム試験との比較事例は散見された。汚染土壌を対象にしてPFASの溶出挙動を評価した論文が非常に多い一方で,廃棄物を対象とした事例は少なかった。ただし使用済み活性炭からのPFASの脱着・溶出を示唆する報告は多く,適切な評価と管理に向けた研究が必要であると思われた。

令和7年度廃棄物資源循環学会セミナー報告
廃棄物資源循環学会若手の会セミナー報告
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