廃棄物資源循環学会誌
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特集:拡大生産者責任の国際動向—ガイダンスマニュアル改訂版を中心として—
EPR ガイダンス現代化とわが国の循環関連法
大塚 直
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2018 年 29 巻 1 号 p. 14-23

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抄録
本稿は,OECD の「拡大生産者責任・効率的な廃棄物管理のためのガイダンス現代化」(「ガイダンス現代化」) を踏まえつつ,日本の EPR の特色と今後の課題を論じる。
 今後,日本で EPR に基づく制度設計を行う際に注目すべき課題点としては,第 1 に,《 EPR は理念としては正しいが,その制度設計には精査が必要》であり,EPR の最も重要な目的である DfE を実現するため,個々の生産者の製品設計に関する環境配慮と,リサイクル料金の設定を紐付ける (リンクさせる) (リサイクル料金を「調整料金」とする) べきである。第 2 に,金銭的責任を生産者に課する際には,生産者に税を課さない (不当な不利益は与えない) ことが必要となる。第 3 に,競争政策と EPR の統合の点は,わが国の 3R 制度の弱点である。なお,今後,ネット販売の増加,(製品によっては) わが国のメーカーのシェアの減少等が予想され,メーカー (や販売者) に対して DfE の意識を維持・向上させるために,リサイクル料金を前払い制にすることの検討が必要となろう。
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© 2018 一般社団法人 廃棄物資源循環学会
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