抄録
平成 29 年 7 月九州北部豪雨において,朝倉市は,未だかつてない規模の被害を被った。2012 ( 平成 24 ) 年 7 月の九州北部豪雨の経験を踏まえ,独自の災害廃棄物処理マニュアルを整備し,災害廃棄物処理の肝ともいえる一次集積場も合併前の市町ごとに 3 カ所確保していた。しかし,今回の災害規模は,その想定をはるかに上回っていた。災害対策本部は,人命救助,道路啓開物の除去,避難所対応,インフラの応急復旧等に翻弄され,人口約 5 万 4 千人の小規模自治体は,大混乱に陥った。このような中,災害廃棄物の処理は,かなり厳しいものであった。しかしながら,環境省をはじめとする多くの方々のさまざまな支援と市民の皆さんの理解と協力をもって,何とか乗り越えることができた。
本稿では,今回の災害の特徴を踏まえながら,通常時の廃棄物処理スキームと比較しつつ,災害廃棄物に対する平時からの備えから処理,そして課題を明らかにすることで,今後の大規模災害廃棄物対策に寄与することを願って紹介するものである。