廃棄物資源循環学会誌
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特集:マイクロプラスチックの陸域からの流出状況と対策
タイヤ摩耗粉じんの環境や人体に与える影響に関する調査・研究
柴田 唯志
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2022 年 33 巻 5 号 p. 386-391

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抄録
タイヤ摩耗粉じんの環境や人の健康に与える影響について,タイヤ業界では TIP (Tire Industry Project) において 2006 年から調査・研究を開始している。本誌ではその研究成果および結果について概要を述べるものである。
 タイヤ摩耗粉じんとは,自動車の走行に必要な摩擦力を発生させるために,タイヤと路面が適切に摩擦する際に生じる微小な摩耗粉のことである。「暴露量 × ハザード」 というリスクアセスメントの基本にのっとり,暴露量については,タイヤ摩耗粉じんがどの環境域にどれくらい存在しているかを,ハザードについては,水生生物等に対する毒性を調査している。また,それらの調査をサポートするために,タイヤ摩耗粉じん量を測定するための定量方法や分析方法の開発も行なった。これまでの結果では,大気中の全 PM10,PM2.5 中に占めるタイヤ摩耗粉じん量は 1 % 以下であり,藻,ミジンコ,小魚やマウスに対する深刻な影響はみられなかった。
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© 2022 一般社団法人 廃棄物資源循環学会
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