次世代HIV-1 インテグラーゼ阻害剤 ドルテグラビルの優れた耐性プロファイルに関する考察

抄録

ドルテグラビルは、第一世代のHIV-1インテグラーゼ阻害剤耐性の変異ウイルスに対しても強い活性を維持し、かつ高いジェネティックバリアを示す次世代のインテグラーゼ阻害剤である。阻害剤の標的複合体（インテグラーゼとウイルスDNAの複合体）からの解離半減期の長さを測定した結果によると、ドルテグラビルは標的に一旦結合すると離れにくい特徴を持っており、優れた耐性プロファイルとの関連が強く示唆された。さらには、標的複合体と阻害剤との複合体構造の考察から、ドルテグラビルは活性中心のメタルへの結合を土台とし、ウイルスDNA 3’塩基との強い相互作用が示唆される一方で、インテグラーゼのアミノ酸との相互作用が少ないなど、結合力の強さとアミノ酸変異の影響を受けにくい特徴を備えていることがわかった。