2021 年 31 巻 3 号 p. 136-142
ユビキチン修飾は生体に必須の翻訳後修飾であり、タンパク質の品質管理に加えて、シグナル伝達やDNA修復、膜タンパク質の輸送など、多彩な細胞機能を調節している。この多彩な機能の背景にあるのが、ユビキチン修飾の構造多様性である。ユビキチン修飾は8種類の連結様式、リン酸化などの翻訳後修飾、鎖長の組み合わせにより膨大な数の高次構造をとることが可能であり、その高次構造に内包された機能情報はユビキチンコードと称される。ユビキチンコードを知ることは、ユビキチン修飾系の異常に起因するさまざまな疾患の発症機構の理解、PROTACなど爆発的に進展しているユビキチン創薬のストラテジー開発に重要である。本稿では、ユビキチンコード研究に関する最新の知見と解析法について紹介する。