2022 年 32 巻 4 号 p. 184-189
どの研究分野においても、最新の手法・技術・経験の共有のためグローバル化が望まれている。特に創薬研究においてインパクトの高い研究成果を求める場合、国内外を問わず複数の研究機関との協業が必要になっている。一方で、最近、低分子医薬品として、取り組みやすい創薬ターゲット、いわゆるlow hanging fruits(手が届きやすい果実)は減少し、新しい創薬ターゲットや創薬モダリティへの挑戦が望まれている現状がある。このような状況のなか、日本国内の製薬会社でメディシナルケミストとして研究生活を送っていた筆者は、オリジナリティの高い創薬ターゲットとそれが実現可能な研究環境を求めて、アメリカのアカデミアに移ることになった。本コラムでは、筆者がScrippsのStaff Scientistとして経験したこと、研究環境に関する日米産学の違いに関して、私見を交えてご紹介したい。