医学教育
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総説
日本医学教育学会40年の歩み-来し方行く先
堀 原一
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2009 年 40 巻 1 号 p. 35-42

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抄録

1)40年前をふり返る
形ばかりで実を伴わなかったインターン制度に反対して立ち上がった医学生や青年医師らの問題提起に端を発した全国の大学紛争の1969年8月,場当たり的対策しか講じられなかった全国医学部長病院長会議で,医学教育改革のため中長期の目標を定めての研究を通じた活動をすべく本学会が始動した.
2)その後の歩み
設立時全国から参集した62名の同志的会員は時代と社会の要請を受けて2,000名を超え,全80大学医学部と教育研修病院の機関会員が230となって,本学会は医師候補者たる入学者選抜に始まる卒前医学教育から,医師国家試験,卒後臨床研修,大学院での基礎研究者育成および生涯教育にわたる広いスペクトラムで,研究活動に根差して医学界や国への重要な発言や提言を積極的に続け,国民の健康・福祉の向上を追求してきた.
3)活動の実績
医学教育改善のために各種委員会やワーキンググループが日常的に活動するとともに,多くの会員個人としても公の医学教育改革の諸局面に参画して実績を挙げてきた.
会員の研究発表と交流のために,毎年機関会員の場で大会の開催を続け,40回を重ねた.時時の課題を取上げて研究会やワークショップなども開催し,問題解決を図っている.
年6号の機関誌「医学教育」を発行し,会員の研究や調査の結果と医学教育に関する情報を広く提供してきた.また学会編集や監修および会員の著作になる医学教育図書の刊行が続いている.
1974年から35回になる「医学教育者のためのワークショップ」(富士研ワークショップ)を主催するほか,全国諸機関や組織でのFDの推進と協力を枢要な活動の柱としてきた.
全国の大学や教育病院に設置されるようになった「医学教育ユニット」(総称)立上げの仲立ちの役割を担い,また大学院「医学教育学」コース(仮称)設置を検討している.
4)将来へ向けての期待
わが学会は,"noblesse oblige"のプロフェッションたる良き医師育成と望ましい健康・福祉の開拓という国民の期待に応えるべく,今後も使命の高揚に努める.

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© 2009 日本医学教育学会
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