目的 : 達成目標と職業価値観との関係性および職業価値観が達成目標に与える影響を検討した.
方法 : 対象は理学療法士養成専門学校4校の学生とした. 質問紙調査で達成目標と職業価値観を測定し, Pearsonの積率相関係数と重回帰分析を実施した.
結果 : 達成目標と職業価値観には有意な正の相関が認められた. 熟達目標には自己価値や社会的評価が正の影響を, 労働条件が負の影響を与えていた. 遂行接近目標や遂行回避目標には社会的評価や労働条件が正の影響を, 自己価値や組織からの独立が負の影響を与えていた.
結論 : 達成目標と職業価値観は関連し, 職業価値観は達成目標に影響を与えることが示唆された.
目的 : 我が国の医学生選抜の課題を解明するために, 医学生の社会経済的背景に対する市民と医療系教育者の認識を対比的に明らかにする.
方法 : 市民と医療系教育者に医学生の社会経済的背景に関する情報を提示し, フォーカスグループでの逐語を主題分析法により帰納的に分析した.
結果 : 家族の経済力など家庭背景に関する6主題, 教育格差など社会背景に関する5主題, 多様な学生選抜など医学教育への期待に関する4主題が抽出された.
考察 : 市民, 医療系教育者ともに, 医学生の社会経済的背景に問題意識を持ち, 医学生の多様性を広げる必要性を認識していた. 本知見は今後の医学生選抜規準の再考に資するものである.
医療者教育に携わる者が教育, 支援上でどのような事項を習得することが望ましいか明らかにするために, 大学教員および臨床現場の指導者92名に無記名, 個別記入形式のWeb調査を行った. 障害学生支援に関する14項目について, それぞれ認知度と必要度を尋ねたところ, 認知度が平均値以下で, 必要度が平均値以上の項目は「合理的配慮」, 「教育的配慮」, 「自己理解」, 「臨床実習における支援方法」, 「プライバシーと守秘義務」であった. 本研究結果を基に, オンデマンドで学習できる動画教材等を作成し理解啓発を促すことが望ましい. そうすることで, 学習を支援する者の資質や技能が向上し, 医療者教育の水準の向上, 発展に寄与できる.
中津川市は, 小学校6年生を対象に医療・介護に関心を持ち, 将来医療・介護従事者になる志を持って貰うための医療・介護職体験イベント「メディカルキッズ」を 2013年度より開催している. イベント参加者の7~9年後の現在の進路状況を調査し, 当該イベントが医療・介護職志向に及ぼす影響を評価した. 2013~2015年度のイベント参加者43名に 2022 年度に現在の進路を尋ねるアンケート調査を行った. 回答率81%で, 医療・介護関係へ就職または進学している者は40%, その中で当該イベント参加が進路選択の契機となったと答えた者は64%だった. 当該イベントは将来医療・介護職を選択する契機になっていることが示唆された.
当院は, 東京医科歯科大学の臨床研修協力医療機関として, 初期研修医を毎年度複数名受け入れ, 在宅医療を中心とした地域医療研修を行っている. 研修医は末期がん患者を最低1名担当し, 終末期医療および緩和ケアを実践する. 昨今, 終末期の意思決定支援の一環としてアドバンス・ケア・プランニング (ACP) の有用性が叫ばれ, 初期研修でも必修とされているが, 必ずしも医師の認知度は高いと言えず十分実践されていない. 今回筆者は初期研修医と共にACPを実践し, 意義と課題を検討した. また, 教育理論を踏まえれば, ACP研修は, 研修医の患者とのコミュニケーションスキルの習熟に加え, 患者本位の医療に関する学習動機に資すると考えられた.
The United States population is growing, along with 40% of active physicians approaching 65 years of age, creating a significant physician shortage which is predicted to be a gap of nearly 124,000 physicians by 2034. Additionally, although over half the graduating medical school classes are now female, women physicians are working part-time or considering going part-time at drastic rates (representing 3/4ths of women physicians by 6 years immediately following training). There have been great strides in women's rights in the workplace and in acceptance rates into the medical field; however, these steps forward have been stifled by the lack of institutional and social support of women physician mothers. In the United States, we lack policies and a culture that adequately supports physician mothers. Here I offer a perspective after observing our Japanese colleagues in the Anesthesiology Department at Juntendo University Hospital. Juntendo University's Anesthesiology Department has a female chair and many policies to support physician mothers at a societal, institutional, and department level. The US healthcare system could learn from our Japanese colleagues by adjusting at a minimum our institutional expectations and policies to better support physician mothers in the workplace. With improved support, we may retain more US women physicians partially helping to resolve the impending physician shortage facing the country.
学修者のアンプロフェッショナルな行動への対応は単純な解決策がなく, 体系的な再教育の方法も提示されておらず, 非常に困難なものである. 医学教育者はその対応に非常に苦慮し, 心身ともに疲労困憊することが稀ではない. 本セミナー&ワークショップでは, 学修者のアンプロフェショナルな行動への対応の基本的知識を提供したうえで, 先進的な取り組みをしている3つの大学から卒前教育における対応の具体的方法を提示した. その後, これらをもとにして, 参加者各自が対応している事例を小グループ討論にて共有し, 教育現場での実践的な対応を学んだ. 各講演の要点と小グループ討論の概要を報告する.