医学教育
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最新号
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原 著
  • 中村 康二, 堀本 ゆかり, 小野田 公, 池田 拓郎
    2025 年56 巻5 号 p. 283-292
    発行日: 2025/10/25
    公開日: 2025/10/30
    ジャーナル フリー
    背景 : 義肢装具士 (Prosthetist and Orthotist : PO) の教育研究は世界的にみても進んでおらず, 教員養成のための能力開発に関する研究は渉猟した限り見当たらない. そこで看護教員に関する教育研究を踏襲して, PO教員用の教育ニードアセスメントツールの開発に必要なPO教員のロールモデル行動を明らかにすることとした.  方法 : PO教員10名を対象に半構造化面接を行い, PO教員のロールモデル行動に関する語りを質的統合法 (KJ法) で分析した.  結果 : PO教員のロールモデル行動は, 社会人として誠実な行動・態度と自己研鑽する行動・態度の両者を基盤にし, 教育実践と学生支援の両面が後進を育て導く行動・態度につながる構造を持つことが示された. PO教員のロールモデル行動は, 看護教員のものと類似しつつもPO教員独自の特徴をもつことが示された.  結論 : PO教員用の教育ニードアセスメントツールの開発に必要なPO教員のロールモデル行動を明らかにすることができた.
  • 利根川 尚也, 今福 輪太郎, 早川 佳穂, 鈴木 康之, 西城 卓也
    2025 年56 巻5 号 p. 293-304
    発行日: 2025/10/25
    公開日: 2025/10/30
    ジャーナル フリー
    背景 : Health Advocacy (HA) は医師にとって重要なコンピテンシーであるが, 本邦におけるHA教育は未だ発展途上である. 本研究は, 日本の小児科専攻医を対象としたHA教育プログラム「小児科専攻医のためのアドボカシー教育プログラム (Child Advocacy Training : CHAT) 」の教育効果を質的に分析し, 今後のHA教育への示唆を得ることを目的とした.  方法 : CHATの全4回に参加した小児科専攻医6名を対象に, プログラム受講後に半構造化インタビューを実施した. 得られた逐語録を, 主題分析を用いて分析した.  結果 : 「概念理解の深化」, 「実践内容の拡張と複合化」, 「実践環境への考察の拡張」の3つのカテゴリーと12個のテーマを抽出した. 参加者は, HAの概念を具体的に理解し, HA手法を複合的に組み合わせたHA実践に変化させていた. また, 政策に対する想起やHA教育の拡充についての視点を獲得していた.  考察 : CHATの学習を通じて, 参加者は抽象的なHAの知識や技能の獲得にとどまらず, 自己を内省し, 新たな視点と行動を段階的に生成するような経験学習サイクルを促進している可能性が示唆された.  結語 : CHATは, HAに関する認識と行動変容を促し, HA実践能力の基盤が経験学習サイクルにより形成させる点で有効である可能性が示唆された.
短 報
  • 菅野 恭子, 横浜 祐子, 谷野 美智枝
    2025 年56 巻5 号 p. 305-310
    発行日: 2025/10/25
    公開日: 2025/10/30
    ジャーナル フリー
     本研究では, 2012年と2022年に実施された医学生のワークライフバランス (Work-life Balance : WLB) 授業前後のアンケート結果を比較し, 意識の変化を検討した. 男子学生は育児休暇取得への関心が高まり, 育児を優先する傾向がみられた. 女子学生はキャリア重視の意識が強まる一方, 育児休暇希望も増えた. また, 授業後には男女ともに将来の勤務先選択にパートナーの意向を考慮する傾向が見られた. 医師の働き方改革が進むなか, 学生の意識も変化しており, 今後は個別サポートやキャリア支援の強化が求められる.
  • 木村 光利, 森 紘子, 江頭 正人
    2025 年56 巻5 号 p. 311-316
    発行日: 2025/10/25
    公開日: 2025/10/30
    ジャーナル フリー
     わが国の臨床研修制度では地域医療研修が必修となっているが, 地域医療研修中の研修医の処遇については各病院に委ねられている. 地域医療研修中の研修医の処遇について現状を明らかにする必要がある. 臨床研修マッチング制度に参加している126大学病院に対して, 地域医療研修中の研修医の処遇についてWebで調査を依頼した. 56施設 (44%) から回答があった. ほとんどの大学病院で, 地域医療研修中も大学病院との雇用関係が継続していた. 地域医療研修では, 雇用が大学病院であるにもかかわらず大学病院とは異なる医療機関で労務をしており, その労使関係としては在籍出向24%, 出張20%, 研修54%となっていた. 出張や研修という労使関係であっても, 時間外手当等の支給が協力施設からになっている大学病院が27%であった. 地域医療研修では勤怠管理者と手当の支給者が一致しないことがあり, これがトラブルのリスクになり得ると考えられた.
視 点
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