2010 年 41 巻 5 号 p. 359-365
要旨:
世代とともに変容する学生側の要因が低学年の医学生の生活にどのような問題を及ぼし,それらがどのように相談されているかを調査した.
1) 約20%の定員増が実施された平成21年1月に医学部1年生,2年生を対象に学業,メンタルヘルス,経済面,卒後の進路,健康面,交友・対人関係の6項目についてアンケート調査を行った.
2) 低学年の医学生では約7割が学業,交友・対人関係に関して周囲に相談を必要としていた.メンタルヘルスについても約半数が相談していた.
3) 問題により相談相手は異なっていたが,友人や先輩へ相談を持ちかけている学生が多かった.また,親が一定の役割を果たしていた.医学部低学年での教員への相談は非常に少なかった.
4) 低学年医学生が相談を要する問題を抱えている頻度は高く周囲が有効にケアする姿勢や問題が放置されないシステム作りが重要であると考えられた.