医学教育
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原著―探索的研究
結婚・出産が女性医師の職業満足度へ与える影響
―2大学医学部同窓会調査より―
野村 恭子山崎 由花鶴ヶ野 しのぶ丸井 英二矢野 栄二
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2011 年 42 巻 4 号 p. 209-215

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抄録

女性医師は増加の一途をたどっているが,我が国では従前より女性医師の継続的就労を阻む最大の因子として結婚・出産が指摘されてきた.本研究では結婚・出産が女性医師の職業満足度へ与える影響について検討した.
1)2つの私立医科大学同窓会に所属する女性医師を対象とした調査(A大学646名,B大学316名)を用いて探索的研究を行った.回収率はA大学38%,B大学71%であった.
2)「医師という職業を選択したことについて満足しているか」を尋ねたところ,「満足している」と回答した女性医師は400名(85%)であった.
3)既婚者は348名(74%)であり,うち280名(80%)は出産経験があり,259名(77%)が医師と婚姻していた.
4)女性医師の職業満足度に正の関連を認めた因子は,全女性医師では“未婚に比し既婚であること”,既婚女性医師では,“出産経験”であった.
5)本研究結果より,“結婚・出産”は女性医師において,キャリア形成の障害になるよりむしろ,医師の職業に対する満足度を上げることでプラスの効果を持つことが示唆された.

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© 2011 日本医学教育学会
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