2019 年 50 巻 5 号 p. 421-428
筑波大学医学類では, 「健康の社会的決定要因 (SDH) 」に関する教育について, 3年次の医療概論での講義, および5-6年次の総合診療科・医療概論の臨床実習に組み込んだ教育プログラムを導入した. 臨床実習では, 初日にSDHに関するレクチャーと資料を提供した上で, 実習中に出会った患者のSDHを考察する課題を課し, 最終日にグループ発表とレポート作成を行った. 多くの学生が生物モデルとは異なる視点で患者・家族を捉えることができていた一方, 時間軸や社会背景を含めた考察ができた学生は一部に留まった. Faculty Developmentなどを通して地域の現場教育と発表会の振り返りの質を上げ, 学生のSDHへの理解を深めることが今後の課題である.