看護職の職業定着に与える看護基礎教育の影響を, 専門学校教育 (質問紙調査) と大学教育 (文献調査) の比較により検討した結果, 1) 結婚・育児による離職傾向には, 施設母体に由来する看護基礎教育のちがいの影響は少ないと考えられた. また, 離職促進因子をもつ職場として病院が指摘され, 育児期にある者にはとくに厳しい状況が推測された. 2) 専門学校卒業者に比べ, 大学卒業者は再就業志向を強くもっており, 希望通りになった場合の就業者率は, 前者56%・後者82%となり, 大卒者では3割の者に臨床への復帰希望がみられた. 3) 大学における看護基礎教育は, 職業定着率の増加という量的効果と, 強い職業コミットメントをもつより質の高い看護職を生み出す質的効果をもっている可能性が示唆された.