医学教育
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2年次研修医による1年次研修医に対するベッドサイド教育
伊賀 幹二石丸 裕康八田 和大今中 孝信
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1999 年 30 巻 3 号 p. 187-189

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抄録

循環器疾患患者に対する身体診察法の個別研修を受けた2年次研修医に, 総合病棟における1年次研修医の指導を義務づけた. この制度の開始後2年間に採用された研修医22名が, 初期研修の1年間にごの2年次研修医からどれだけ指導を受け, 目標を達成できたかをアンケート調査した. 10名が, 彼らからとくに指導を受けたとした. 1年次終了時における3点満点の自己評価平均スコアーでは,「順序立てた身体診察法」は2.28点,「奔馬調律の聴取」は1.89点と満足すべきであったが,「内頚静脈波の分析」は1.33点,「系統的な心雑音の記載」は1.61点と低値であった. 個別研修を受けられなかった研修医からの, 不平等とする反対意見は, この制度が浸透するに従い減少した. 一方, 個別研修を受けた2年次研修医は1年次研修医を指導することで知識の整理ができたとした. 1年次研修医は, 初期研修の1年間に, 2年次研修医より指導を受けることで順序立てた身体診察法を習熟できたが, 個々の異常所見を習得するには総合病棟のみでは患者の絶対数が少なく, 他に研修の場を求める必要があると考えられた.

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