2003 年 34 巻 3 号 p. 193-198
現在, 日本の医学教育においては, 医学部の学生を低年次の間に何らかの形で患者と接触させ現実の医療現場を観察させるという早期臨床体験実習が行われ始めている. 高年次における臨床実習では, 医師の視点から見る医療現場という側面が強くなってしまうが, 医学的知識も少ない低年次においては, 医療現場を, 医療者でもなく患者でもない第三者の立場から観察することができる. 今回, われわれは全国数か所の大学の医学生にコミュニケーションを中心とした早期臨床体験実習に関するアンケートを行い, 医学生たちが実習で何を感じたかを調査した. また, 大阪大学で見られた実習後の学生達の自発的な探求活動についても報告する. 早期臨床体験実習は学生達に医療の現場のさまざまな側面を認識させ, 医療における問題意識を与えることができると言えるのではないだろうか.