医学教育
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看護学生・医学生の職業適応と自我状態に関する研究
白鳥 さつき佐藤 公美子比江島 欣慎
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2004 年 35 巻 4 号 p. 235-244

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抄録

本研究は看護学生・医学生の職業適応に関する特徴を把握することを目的とした. 青年期にある学生が職業人としての自己像を捉える際, 自我状態は大きく影響を及ぼすものと考え, 適応状態を「職業レディネス」尺度を用い, 自我状態を「東大式エゴグラム」によって測定し関連を明らかにした. さらに人文学系学生の調査結果との比較から特徴を考察した. 職業レディネスでは看護学生は職業選択を重要な課題と考え, 真剣に取り組んでいる傾向が高く, 医学生では職業を医師と限定して考えている傾向の高いことがわかった. 教育学科生は教師としての自己の適性と能力を客観的に評価している傾向が見られた. 社会学科生では, 現時点で職業を決めている学生は10%未満で, レディネスも低かった. エゴグラムおよび職業・大学選択状況との関連では, 職業を早い時期に決定した学生ほどレディネスが高かった. 職業レディネス高位群のエゴグラムはNurturing Parent (NP) とFree Child (FC) が高いことが特徴で, 低位群ではAdapted Child (AC) が高い傾向が見られた.これらの結果から自我状態が安定してポジティブであるほど職業への成熟度が高いことが示唆された.

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