2005 年 36 巻 3 号 p. 163-166
医学生の全人格的な教育の実現に向けて, 医学教育の質的向上への期待が高まっている. こうした背景をふまえ, ほかの教育機関の新しい教育システムを考察することは意義がある. 米国アイオワ大学 (The University of Iowa) のディスカッション・クラスで援用されている教育技術は, 医学部で実施されている問題基盤型学習をはじめとする医学教育全体の質的向上に効果的であろう. また, 学生と教員の相互的なコミュニケーションを重視した同大学の教育システムは, 将来医療に従事する医学生が患者への温かみのある対応を学ぶ一助になるものと期待される. このような, 包括的で応用範囲が広い教育システムは, 今後, 医学部がもつ優れた人材養成教育の使命を遂行する上で参考になるものと考えられる.