医学教育
Online ISSN : 2185-0453
Print ISSN : 0386-9644
ISSN-L : 0386-9644
わが国における研修医のインシデント・アクシデントの現状
和田 耕治坂田 由美角田 正史奈良井 理恵田中 克俊相澤 好治
著者情報
ジャーナル フリー

2007 年 38 巻 4 号 p. 239-244

詳細
抄録

医療安全は重要な課題として取り組まれている.しかしながら, 研修医のインシデントとアクシデントの件数に関しては, 個別の医療機関で集計, 分析が行われているものの, 多施設を対象にした調査は十分に行われていない.本調査では研修医の1年目と2年目が経験したインシデントとアクシデントの件数の現状について調査を行った.
1) 臨床研修指定病院14か所に在籍する研修医1年目と2年目の計231人を対象に質問票調査を2005年8月末に行い, 192人より回答を得た (回答率83.1%).
2) 臨床研修開始後に経験したインシデントとアクシデントの件数の回答をもとに, 研修医の人数と研修期間より研修医1人の1か月ごとの発生率を算出した.
3) 1年目のインシデントの発生率は0.79件/研修医/月 (95%Confidence Interval (CI): 0.30-1.28) で, アクシデントは0.13件/研修医/月 (5%CI: 0.06-0.20) であった.
4) 2年目のインシデントの発生率は0.24件/研修医/月 (95%CI: 0.14-0.34) で, アクシデントは0.06件/研修医/月 (95%CI: 0.01-0.11) であった.
5) 1年目と2年目それぞれにおいて性別, 年齢, 所属医療機関の病床数とインシデントとアクシデントの件数については有意な差は認められなかった.

著者関連情報
© 日本医学教育学会
前の記事 次の記事
feedback
Top