医学教育
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わが国における研修医のストレス反応とストレス緩和要因の探索およびストレス理論モデルの作成
木村 琢磨前野 哲博小崎 真規子大滝 純司松村 真司尾藤 誠司青木 誠
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2008 年 39 巻 3 号 p. 169-174

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抄録

研修医にストレスがかかると, 非倫理的な診療や研修プログラムからの脱落につながりうることが欧米での研究で明らかになっている.わが国における研修医のストレスが, 研修医個人や診療に与える影響や, その緩和要因については不明な現状である.そもそも “わが国における研修医のストレス” という概念自体が不明で, その理論モデルは明らかにされていない.
1) 10施設の研修医25人を対象に, フォーカス・グループ・インタビューを実施し, わが国における研修医のストレス反応, ストレス緩和要因を探索し, 研修医のストレス理論モデルを作成した.
2) 研修医のストレス反応として, 日常生活に加えて患者診療や研修上の悪影響が生ずることが探索された.
3) 緩和要因として, 患者や指導医からのポジティブ・フィードバック, 患者管理上のサポート・システムの充実などが探索された.
4) 既存の一般的な職業性ストレスモデルの枠組みに基づいて, 研修医のストレス理論モデルを作成した.5) 研修医のキャリア・デベロップメントや, 安全で良質な医療サービスを提供する上で, 研修医のストレス理論モデルを考慮したストレス要因の軽減ストレス緩和要因の促進などの対策が必要である.

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