医学教育
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高齢者介護施設における終末期ケアの実施および施設長向け教育に関する課題
平川 仁尚植村 和正葛谷 雅文
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2008 年 39 巻 4 号 p. 245-250

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抄録

今後, 高齢者介護施設での看取りが増加していくことが予想される. 高齢者介護施設での看取りの実施には様々な課題があり, 特に, 高齢者介護施設を対象とした終末期ケア教育の充実は重要である.今回の調査の目的は, 高齢者介護施設における終末期ケアの実施およびその教育に関する課題を施設長の意識から明らかにすることである.
・名古屋市内の高齢者介護施設214施設の施設長を対象に終末期ケアを対象施設で提供する際に必要と思われる条件と終末期ケアに関して学習したいと考えている項目に関する調査を実施した.
・終末期ケアの提供に必要な条件として, スタッフ向けの教育, 施設外の医師の理解や協力, 個室など療養環境の充実, 医師・看護師の24時間体制の充実などが多く挙げられた.
・特別養護老人ホームにおいて, 医師・看護師の24時間体制の充実が必要と考える回答が多かった.
・事前指定書の在り方など患者の意思決定, 患者・家族とのコミュニケーションの方法, 終末期に関する法的制度を学習したい項目に挙げた施設長が多かった.
・高齢者介護施設で看取りを行うためには, スタッフ向けの終末期ケア教育の充実, ならびに医療スタッフの24時間体制の確立など施設基準の見直しが必要なことが示唆された.

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