人間・環境学会誌
Online ISSN : 2432-0366
Print ISSN : 1341-500X
行為のイメージ・展開からみた住宅の天井高に関する研究
大崎 淳史西出 和彦
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2009 年 12 巻 2 号 p. 1-10

詳細
抄録

一般住宅の中には部分的に天井を高くとる事例がある。天井高に変化をつけるのは、空間を豊かにするための工夫だといえるが、天井高に変化をつける工夫が居住者の生活にどう結びつくのかは検証されることが少なかった。そこで本研究では、以下の課題2項目を検討することで、人間にとって天井高がいかなる意味をもたらすのかについて考察する。1点目の課題は、空間体感から得る行為のイメージと天井高の関係をとらえることである。具体的には、平面・天井高が可変の実大空間を用い、被験者に「どのような室空間として使いたいか」イメージを記述してもらう。イメージの構造を分析し、平面が同寸法でも天井高が異なればイメージの質も変わることを明らかにする。2点目は、行為展開と天井高の関わりについて検討することである。比較的天井の高いリビング・ダイニング室がある住宅を対象にアンケート調査および訪問調査を行い、現実の行為展開からも天井高による影響が読みとれることを明らかにする。最後に、課題2項目の比較を行い、住宅設計には居住者の視点にたった十分な天井高の検討が欠かせないことを確認する。

著者関連情報
© 2009 人間・環境学会
前の記事 次の記事
feedback
Top