人間・環境学会誌
Online ISSN : 2432-0366
Print ISSN : 1341-500X
居場所の選択とその「きっかけ」に関する研究 : 都市のパブリックスペースにおける行動観察および実験から
木内 洸雲橋本 都子
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ジャーナル オープンアクセス

2014 年 16 巻 2 号 p. 1-10

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抄録
本研究は、街具(ストリートファニチャー)や植栽などの都市の屋外パブリックスペースにおける環境要因に着目し、それらがいつ、誰に、どのような場面で利用されるのかを明らかにすることによって、人がある行為をおこなう居場所を探す一連の行動の全貌を知ることを目的としている。まず、屋外で見られる行為の事例(193)を集め、場所、姿勢、ストリートファニチャーの高さにより分類・考察をおこなった。その結果、「飲食」に着目し、品川セントラルガーデンと東京国際フォーラムを対象に、日常の使われ方を記録する観察調査と、被験者による弁当を食べる実験をおこなった。実験は2人一組の被験者に飲み物(お茶)と食べ物(弁当)を渡し、敷地の中の好きな場所で食べてもらう。その際、飲食する居場所を探すプロセスと心理傾向を把握するため、被験者の会話と行動をICレコーダーとビデオカメラで記録し、考察をおこなった。調査と実験の結果、選ばれる居場所の環境要因には優先順位があり、優位な順に、1.座って食べられる、2.清潔である、3.落ち着いて食べられる状況、4.適度な気温、5.座り心地の良い素材、6.興味を引かれるものがある、7.良い景観、8.座り易い形、9.テーブルがある、以上の9項目が挙げられた。
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© 2014 人間・環境学会
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