2019 年 21 巻 2 号 p. 12-21
人々の寿命が延びたことから、どのような場で生活をするかということは肉体的・精神的な健康の重要な要素である。文化的な差異は大きいものの、世界的に共通して重要度が増加したことがある。それらは高齢化、都市化、そして技術、である。
スマートシティーやスマートホームからモバイル機器まで、情報技術が高齢者の直面する課題への解決策として供されることがますます増えている。しかしながら、これらの創造的で世代依存的な交流手段の選択肢は個々人を家族やコミュニティーにつなぐこともあれば切り離すこともある。好ましい効果とともに意図せぬ好ましからぬ副次的な効果も発生し、結果として人と環境の関係や高齢者特有の要求を理解する必要性が生じる。
新たな情報交流の分野が紹介され、将来の研究への着眼点が示唆されている。まず最初に示されたものは、生涯に渡る情報交流の概念であり、その意味することは、人の情報交流は発展的でありそのパターンやニーズは時と共に変化するものとして理解される必要がある、ということである。二つ目は都市における情報交流であり、これは都市を概念化し、個人間相互作用の複雑な環境、人の行動を形作る空間や場の領域、そして入り組んだ技術の環境としている。本稿が示すものは情報技術からの研究の取り組みの必要性であり、それにより物理的な場と高齢者のための情報技術を介した相互作用の関係を理解し計画していくことである。