2024 年 26 巻 2 号 p. 1-5
本研究では,カウンセリングルームに森林の環境音と映像を追加することによる心理面接への影響について,カウンセリングルーム(実験室)の印象,カウンセラー(実験実施者)の印象,制作されたコラージュ作品を用いて検討した。加えて,カウンセリングルームの森林環境の要素が直接心理面接で用いられるコラージュに影響を及ぼす可能性についても検討した。15名の大学生を実験参加者として森林環境音の有無と森林環境映像の有無の2要因被験者間計画で実験を行った結果,カウンセリングルーム,カウンセラー,制作者自身によるコラージュ制作に対する印象には差は見られず,実験参加者が自覚する主観的な印象については森林の環境音と映像の影響が見られなかった。コラージュ作品で使用された素材としては緑色の山,木々,芝生などの緑の素材の使用には差は見られなかったが,環境音と映像がある場合,動物の素材が使用されることが多かった。実験計画を知らない第三者5名によるコラージュ作品の評定では,森林の映像がある場合には環境音がない方がコラージュ作品の全体的なまとまりや落ち着きを示す安定性の評価が高かった。これらのことから,森林の映像と環境音の両方がある場合には実験参加者(クライエント)が自覚できない無意識下において心理的な影響を与える可能性があることが示唆された。