抄録
移動により生じる光学的流動は、観察点の移動に関する莫大な情報をもたらす。この流動は、われわれの周囲を満たしている光の流れを利用し、移動に関する絶対的な指標となる。可逆的遮蔽は、この流動により生じる事象であり、環境の全体的な配置に関する情報を含む。本研究は、空間の拡がりを特定する情報を明らかにするために、光学的流動と可逆的遮蔽に注目し、それらの特性を指標として応用する方法を提案した。そしてわれわれが開口部を通過する場合、観察者の移動によって、光学的な情報がどのように見え隠れするかを例証した。可逆的遮蔽による環境の隠れた面と隠す面とは、観察点の移動に伴い生じるもので、それらは交替することができる。この法則を利用し、遮蔽縁における見かけの肌理の添加速度と、開口部の遮蔽による背景面の拡大速度の変数から、空間的な情報を特定した。ここでは空間的な拡がりを特定する指標として、数理的に不変項W/fを導き出した。また運動によって生じる変化を測定し、環境からの情報を有効に記述するために、動画像処理を応用した抽出方法を提示した。そして空間的および時間的な特徴量の勾配を捉え、差分画像を用いて光学的流動の変化項を取り出した。